
ハイブリッドワーク時代のオフィス面積の考え方!縮小か維持か自社に最適な判断軸を解説
ハイブリッドワークが当たり前になりつつある中で、自社のオフィス面積をどうするかは、多くの経営層や総務人事、オフィス担当者にとって避けて通れないテーマになっています。
出社率が下がったのだから思い切って縮小すべきなのか、それとも将来の採用や事業拡大を見据えて維持すべきなのか。
また、単純に席数を減らすだけでなく、集中しやすい環境やコミュニケーションの活性化、従業員のウェルビーイングを高める場として、オフィスにどこまで投資するべきなのかも悩ましいところです。
このコラムでは、ハイブリッドワーク時代のオフィス面積の考え方について、縮小と維持それぞれの判断軸を整理しながら、自社にとって最適な面積を導くためのステップを分かりやすく解説します。
読み進めていただくことで、感覚や思い込みではなく、データと自社の働き方に基づいたオフィス戦略のヒントをつかんでいただけるはずです。
ハイブリッドワーク定着で変わる働き方とオフィス
ハイブリッドワークとは、出社と在宅勤務などを組み合わせて勤務場所を柔軟に選ぶ働き方を指します。
総務省や厚生労働省の関連調査では、感染症流行期に急拡大したテレワークが一時より減少しつつも、一定の水準で定着していることが示されています。
また、厚生労働省が委託した最新の実態調査では、在宅勤務を導入している企業のうち、半数超が「今後も維持または拡大したい」と回答しており、ハイブリッドワークを前提とした働き方が広がっている状況です。
このように、働く場所と時間の選択肢が広がる中で、企業はオフィスのあり方を改めて見直す局面を迎えています。
一方で、テレワークの実施率や出社率には揺り戻しの動きも見られます。
内閣府などの分析によると、全国のテレワーク実施率は、感染症流行初期の水準をピークとして、その後は一定程度低下しながらも、流行前より高い水準を維持していると整理されています。
また、日本政策投資銀行の「オフィスビルに対するステークホルダーの意識調査2023」では、現在の平均出社率がおおむね前年並みで推移する一方、出社率が概ね「80%以上」と回答する企業が全体の約半数となり、緩やかな出社回帰の傾向が指摘されています。
ただし同時に、多くの企業がテレワークを完全には手放さず、勤務形態を組み合わせる方向で模索している点も重要です。
こうした働き方の変化は、オフィスの役割や価値のとらえ方にも大きな影響を与えています。
ザイマックス不動産総合研究所の大都市圏オフィスワーカー調査では、理想の働き方として「完全出社」と「ハイブリッドワーク」が拮抗し、「完全テレワーク」は少数派であることが示されています。
このことは、個人で集中して働く場としての自宅や外部環境に加え、オフィスにはコミュニケーションやコラボレーション、ウェルビーイング向上のための機能を期待する傾向が強まっていることを意味します。
その結果として、単純な席数確保だけでなく、対面での議論や偶発的な交流、心身の健康に配慮した環境づくりを重視したオフィスづくりへと、投資やレイアウトの考え方が変わりつつあります。
| 観点 | ハイブリッドワーク前 | ハイブリッドワーク定着後 |
|---|---|---|
| 働き方の前提 | 原則毎日出社 | 出社と在宅の併用 |
| オフィスの主な役割 | 個人作業中心の執務 | 協働・対話の場 |
| 重視される価値 | 席数と収容効率 | 生産性とウェルビーイング |
オフィス面積を「縮小すべき」企業の判断軸
まず、自社がオフィス面積を縮小すべきかどうかは、固定席の利用率と出社ルールの実態を丁寧に確認することが重要です。
総務省などの調査では、企業のテレワーク導入率はおおむね半数前後まで普及しており、ハイブリッドワークを前提とした働き方が広がっています。
それにもかかわらず、常時空席が目立つ固定席をそのまま維持している場合、明らかに席数と出社実態が合っていない可能性があります。
業務特性上どうしても対面作業が多い部署と、在宅中心でも成立する部署を切り分けたうえで、全体としての席数や会議室数を再設計できるかを検討することが、面積ダウンサイジングの第一歩になります。
次に、どの程度まで面積を縮小できるかを試算する際は、人数と出社率、そして従業員1人当たりに必要とするオフィス面積を整理することが基本になります。
例えば、総務省「通信利用動向調査」などで示されるテレワーク導入率や出社回帰の傾向を参考に、自社の平均出社率を現状と将来像の両面から設定します。
そのうえで、「最大同時出社人数×1人当たり必要面積+共用部面積」という考え方で必要面積を概算し、現在の契約面積との差分を把握します。
実際には、ザイマックス不動産総合研究所の分析でも、出社率が一定程度下がっても面積は急激には減らない傾向が示されているため、安全余裕をどの程度持つかを経営判断として決めることが大切です。
さらに、面積縮小の検討では、単にコスト削減だけでなく、その原資をどこに再投資するかを同時に考える必要があります。
日本政策投資銀行の調査では、テナント企業の多くが、オフィスの質向上や働き方改革への投資意欲を持ちながらも、賃料負担には慎重である姿勢がうかがえます。
そこで、オフィス賃料や共益費の削減分を、在宅勤務者の通信環境や家具の整備、オンライン会議環境の高度化など、ハイブリッドワークを支える情報通信基盤に振り向ける考え方が有効です。
また、日本オフィス家具協会の関連資料でも、集中ブースやオンライン会議対応スペースへのニーズが高まっていることが示されており、縮小で浮いたコストをこうした設備更新に充てることで、限られた面積でも生産性と満足度を高めることができます。
| 判断軸 | 確認すべき指標 | 縮小検討の目安 |
|---|---|---|
| 固定席利用状況 | 平均着席率・空席率 | 常時2~3割以上が空席 |
| 出社ルール | 週当たり出社日数 | 週2~3日出社が多数 |
| 業務特性 | 対面必須業務の比率 | 在宅可能業務が過半 |
| コストと投資 | 賃料負担と投資余力 | 賃料削減分を再投資 |
オフィス面積を「維持・再構成すべき」ケースと発想
ハイブリッドワークが広がる中でも、必ずしもオフィス面積を縮小しない方が合理的な企業があります。
例えば、採用拡大や新規事業の予定があり在籍人数の増加を見込む場合や、出社比率が高く座席や会議室が慢性的に不足している場合です。
ザイマックス不動産総合研究所の調査では、直近1年間で「拡張した・拡張する可能性がある」と回答した企業が「縮小した・縮小する可能性がある」と回答した企業を上回っており、ハイブリッドワーク下でも成長投資として面積維持・拡張を選択する動きが確認できます。
また、出社比率が一定以上で対面研修や来客対応が多い企業では、物理的な場を維持することが、企業文化の醸成や信頼確保の基盤となりやすいです。
一方で、オフィス面積を維持しながら中身を再構成するという発想も重要です。
日本オフィス家具協会の調査では、多くの経営者がオフィス面積を維持しつつ、レイアウトも見直していないとの結果が示されており、ハイブリッドワークに即した再設計が十分に進んでいない実態がうかがえます。
そこで、固定席を減らしフリーアドレス席やプロジェクト用スペースを増やす、集中ブースとオンライン会議に適した個室を整備するなど、密度調整と活動に応じたレイアウトへの転換が有効です。
このような再構成により、単に席数を並べるだけの空間から、対面で集まる価値を高めるコラボレーション拠点へと位置付けを変えることができます。
さらに、ハイブリッドワーク時代のオフィスは「縮小するかどうか」だけでなく、「どのような価値を生み出す場にするか」を軸に検討することが大切です。
日本政策投資銀行の調査では、ウェルビーイングに配慮したオフィスへの投資が、中長期的な収益性向上に寄与すると期待する企業が増加していることが示されています。
働く人の心身の健康やエンゲージメント、イノベーションの創出力を高める場としてオフィスの役割を捉え直せば、面積削減一辺倒ではなく、必要な広さを維持した上で質を高める選択も合理的です。
そのため、出社ルールや採用計画、事業戦略とあわせて、自社にとってのオフィス価値を言語化し、面積とレイアウトを総合的に検討していく視点が求められます。
| 面積維持が合理的な条件 | 再構成の主な方向性 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 出社比率が高い業務中心 | 固定席削減とフリーアドレス化 | 席稼働率向上と柔軟な運用 |
| 採用拡大や事業成長を計画 | プロジェクト型エリアの拡充 | 部署横断の連携と創造性向上 |
| 研修や来客対応が多い組織 | 会議室と共有ラウンジの充実 | コミュニケーション活性と信頼性 |
自社に最適なオフィス面積を導く具体的ステップ
まずは、現状の利用実態を客観的な数字で把握することが重要です。
具体的には、在籍人数だけでなく、曜日別・時間帯別の出社人数、会議室の予約件数と実利用時間、フリーアドレス席の着席率などを一定期間継続して記録します。
国の調査でもテレワーク実施者の割合は業種や職種で大きく異なることが示されており、自社の実態を丁寧に分解することが、今後のオフィス面積の議論の出発点になります。
次に、将来の働き方の方針と人員計画を踏まえた中期シナリオを整理します。
例えば、国の調査ではテレワークは一時期より減少したものの一定程度で定着しており、今後も出社と在宅を組み合わせる働き方が続くとみられます。
そのため、今後3〜5年の出社比率の目標、採用や組織拡大の見通し、事業ポートフォリオの変化などを整理し、「出社率が高い場合」「中程度の場合」「低い場合」といった複数の面積シナリオを検討しておくことが有効です。
最後に、算出したシナリオをもとに、縮小か維持かを検討しながら、オフィスの質的な見直しまで含めて整理します。
近年の調査では、企業の多くが面積を大きく減らすより、レイアウト変更やウェルビーイング向上策などで価値を高めようとする傾向がみられます。
そのため、自社内で議論を重ねるだけでなく、働き方やワークプレイスに詳しい専門家へ相談しながら、面積と機能の両面を段階的に最適化していくプロセスづくりが重要になります。
| ステップ | 主な確認項目 | アウトプット |
|---|---|---|
| 現状実態の把握 | 出社人数推移・席利用率 | 基礎データ一覧 |
| 中期シナリオ設計 | 出社方針・採用計画 | 3〜5年面積案 |
| 方針と施策検討 | 縮小可否・レイアウト | 最適面積と施策 |
まとめ
ハイブリッドワーク時代のオフィスは、「なんとなく縮小」でも「現状維持ありき」でもなく、自社の働き方データに基づく判断が重要です。
出社率や固定席の稼働、会議室利用、採用計画などを整理することで、縮小か維持・再構成かの方向性が見えてきます。
自社だけで判断が難しい場合は、客観的なデータ分析とレイアウト提案まで一体でサポートできる不動産の専門家に相談することで、ムダのない最適なオフィス面積と投資配分を一緒に検討できます。
まずは現在のオフィスの使われ方や賃料条件など、気になる点からお気軽にご相談ください。